幻の酒肴あれこれ
「そば巻き」 そばといえば日本では、麺が当たり前になっているが、そばは、世界各地で食べられている。そのそばでビールにぴったりの一品。 まず、そば粉8、小麦粉2の割合をボールにいれ、水を少しづづ加え、とろりとした感じに混ぜ合わせる。フライパンにサラダ油を塗り、直径十cm位のクレープを焼いておく。 小鍋にトマト水煮に八町味噌少々、酒を加え火にかけ、特製トマトソースを作る。茹で豚肉薄切り、レタス、青紫蘇の葉を千切りに。 そばクレープにトマトソースを塗り、豚肉、レタス、青紫蘇を巻いて食べる。少々タバスコをかけるとビールに合う。 幻の酒肴あれこれ 「鯛ねぎ汁飯」 酒宴の終いに、ご飯や汁物がほしくなるのが酒飲みの常。潮汁、浅利の味噌汁、茶漬けもいいが、ちょっと贅沢に鯛を使おう。 まず、具を用意する。青葱は、5ミリの小口切り。生椎茸は、千切り。鯛は、塩をして、一五分置き、素焼きにして身をほぐす。 鍋に、先の葱を入れ、しんなりするまで炒りつけ、生椎茸を入れて、さっと火を通し、淡い塩味にし、火を止める。 次に、かけ汁を作る。だしを温め、塩、醤油を加えて、吸い物加減のかけ汁を作る。 炊き上がったばかりの熱々のご飯の上に、先の鯛、葱、椎茸を盛り、かけ汁を掛ける。 幻の酒肴あれこれ 「牡丹卵」 子どもの頃は、暑いご飯に生卵、何か特別の日のすき焼きの生卵、東京で生活をしていた二十歳ごろの給料日の即席ラーメンに入れる生卵、実に贅沢なものだった。 酒飲みは、総じて卵好きだ。今回は、煎り酒で食べる卵の一品。 まず、煎り酒は、日本酒二升、削りかつお300グラム、梅干15個から20個入れ、一升ぐらいに煮つめ、漉し、冷ます。煎り酒は、醤油代わりの減塩調味料。保存が利く。 生卵は、和紙で包んで、酢を入れた熱湯に入れ、半熟に茹でる。決して茹ですぎないこと。器に和紙からゆで卵を取り出す。猪口に先の煎り酒を入れ、生わさびを添えて食べる。 「まぐろ梅おろし」 日本人は、鮪が世界一好きだ。少なくなってきた、その鮪を30数年前より近畿大学が養殖を手がけ、素晴らしい成果を挙げている。鮪好きの日本人には、何よりの朗報だ。 大根をおろし、梅干しは種を除き、庖丁でたたいて梅肉を作り大根おろしと混ぜ合わせ、少し醤油も垂らし入れておく。焼き海苔は火で軽くあぶり、もみ海苔にする。大振りの鮪切り身をさっと表面をあぶり氷水に落としいれ、すぐに取り出し布巾で水気を取り、厚めの刺身にする。刺身に先の梅おろしをたっぷりと載せ、もみ海苔を掛け食べる。旨いねえ。 「うなぎ雑炊、味噌仕立て」 『土用の丑に鰻』という風習は、江戸時代の蘭学者の平賀源内が知人の鰻屋のために「本日、土用の丑の日」と書いて店頭に張り紙をしたところ、大繁盛したことが起源といわれている。が、今の世の庶民も、やはり土用には「うなぎ」だね。 まず、白みそと赤みそを七対三の割の味噌 汁をつくり、それに、豆腐のつかみ潰しを洗 い飯と共に汁の中に入れ一沸して後、うなぎ の蒲焼の刻みを入れ、再び一沸し、器に盛り、 それに刻み葱をたっぷり入れ食べる。特に、 夏バテと冷酒をやり過ぎた後にはこれがいい。 「レタスのピリ辛スープ」 レタスは、紀元前5世紀にエジプト人が、既にレタスを食べていたと言う記録があるようだ。日本では東大寺正倉院の文献に書き残されているようで、以外に歴史がある野菜だ。 レタスは、洗って千切りにする。ハム、かまぼこも千切りにしておく。卵は、塩、砂糖を少々入れ錦糸玉子にする。 油で豚ひき肉しっかり炒め、鷹の爪、生姜の微塵切り、テンメンジャン、醤油、コショウで調味して炒め、水を加えてアクを取り、先のレタスなどの千切りと錦糸玉子を入れ2~3分煮て出来上がり。熱々をふうふうと。 「紅白肴」 師走の京。酒飲みにとって、一番よい季節かもしれない。二十年前、一杯飲んでぶらぶら南座の前。ふっと顔見世が見たくなり、売店で燗酒と幕の内を買って、三階の席へ。ほろ酔い機嫌でゆっくり顔見世を愉しんだ。 冬の酒肴は、何と言っても鍋だが、鍋の合間の肴に、料理に自信のない酒飲みにも自分でできる簡単な酒肴。 山芋と大根は、皮をむき、5mm角のサイコロに切っておく。後は、いくらを潰さぬように優しく和えるだけ。醤油と酢を二、三滴たらす。易しいやさしい一品だ。 <「芋豆腐」 今、料理人で文人であった大正時代の文筆家、林 春隆が昭和初期に月刊誌「食道楽」 に連載した『新撰豆腐百珍』を読んでいた。それこそ、あっと驚く新鮮な豆腐料理ば かり。目から鱗が落ちるの感。あれもこれも造って食べたいものばかりだ。温故知新 とはよくいったものだ。 その中から、幻風にした肴の一品を造ってみよう。先ず、長芋を薄い短冊切り、硬 木綿をゆで、田楽用に切り、それを火にかけ、少しコゲ目を付け、二つ重ねて皿に盛 る。多目の生わさびのすりおろしと八丁味噌を酒、味醂で少し柔らかめに練ったタレ をかけ食す。ちょっとした酒の肴の逸品だ。旨いよ。 「大好評のイタリア風揚げパン」 20才前後、数々の映画を見た中で、アラン・ドロンの「太陽がいっぱい」は、我々、若者に強烈な印象を残した映画だった。地中海が太陽にキラキラ輝いている様は、今でも目の前に浮かぶ。これぞイタリアであった。 “食べる事は、人生だ”というイタリア人の食への情熱に見習うべく、イタリア庶民の味・パンツアロッティをどうぞ。 茹で上げたじゃがいもをつぶし、卵黄、ドライイースト、砂糖、バター、小麦粉(中力粉)をよく混ぜ、ねって丸めて小一時間ねかす。 モッツァレラチーズ、ハム、マッシュルーム、クレソンのみじん切りを卵黄と混ぜ、ねかせておいたじゃがいもの生地でそれを包み、低温でこんがり狐色に揚げる。 熱いのを口いっぱいほうばり、赤ワインを一口。 「鱈トロピカル」 /font> 鱈の旬は、1月、2月だが、この頃冷凍の鱈は四季を通じて手軽に入る食材だ。 ふいの来客があり、もう一品なにかほしい時、簡単にできる酒の肴の逸品。 冷凍ダラを一口大にブツ切りにしてボウルに入れる。この中に、玉ねぎ1個、トマト水煮缶1個分、ニンニク2~3片、しょうが1片をそれぞれみじん切りにして加える。後は、レモン汁1個分を絞り入れ、オリーブ油大さじ5杯、塩とコショウ少々ふり入れ、それらを充分混ぜ合わせ、2、30分漬け込んでおく。 次に、鍋に先の鱈の漬け込みを移し、白ワインをコップ1杯加え、とろ火でコトコト煮込む。15分から20分もたてば鱈にも火が通る。最後に、味をみて、火を消す前にパセリのみじん切りをドドッと一杯ほうり込み、でき上がり。 冷えた白ワイン……。いや、キリッと冷やした大吟醸に旨酒があれば、これに勝るものはない。 「浅利の梅風味」 子供のころ、辻辻を伊勢、鳥羽などから「さかなぁーや、さかな」と、自転車に乗って、新鮮な魚介類を売りに回っていた担ぎの魚屋のおっちゃんの売り声が今でもかすかに耳に残る。春、四月、五月になると浅利を売っていたように思う。旬だ。 浅利は、10~15分塩水に漬け砂だしをした後、水切りをしておく。中華鍋を煙が出るぐらいに焼き、油を入れ、微塵切りの生姜と共に浅利を放り込み、酒も適宜入れ蓋をする。浅利の口が開いたら梅肉醤油を掛け回し、出来上がり。梅風味が浅利に合い、酒が進む 連載 ― 幻の春の一品あれこれ 帆立は、蛋白質・カルシウム・ビタミン・鉄分などが多く含まれて酒肴によい。今は、養殖帆立があり、一年中食べられ、何月の帆立が特に美味しいとかがないから嬉しい。 帆立を貝から取り、さっと水洗いをし、貝に戻し塩コショウを少々しておく。その後、山椒の若芽を多めに帆立の上にのせ、それにとろけるチーズをたっぷり掛け、下ごしらえが完了。後は、ガスレンジの魚焼き器に入れ、焼き加減を見ながら四、五分で焼き上がる。貝ごと取り出し、さっと醤油を振り掛けておしまい。料理ができないとお悩みの酒飲みにも簡単にでき、旨い一品だ。 「小エビのスペイン居酒屋風」 スペインの街角には、必ずといってよい程、BAR(バル)と看板をかかげた居酒屋がある。居酒屋の床は、ムール貝やエビの殻や楊子、紙ナプキンが散らかり足の踏み場もないところがある。スペインの酒飲みは、こんな所が旨いという。あまりきれい過ぎても、落着かないと、日本の酒飲みもいう。 小エビを水洗いし、背わたを楊子で取り除き、水を切っておく。ニンニクのスライス、パセリのみじん切りを用意しておく。 フライパンにオリーブ油をたっぷり入れ、細火でニンニクの香りをじっくりと出す。そこにエビを殻付きのまま入れ、素揚げする。揚がったら塩をサッとふり、みじん切りのパセリをたっぷりとふりかけでき上り。どんな酒にも合う。 連載 ― 幻の夏の一品① 「鱧と青唐・幻風」 さあ、いよいよ、鱧が一番旨くなる夏、真盛り。 祭り魚といわれる通り、京は、祇園祭、浪速は、天神祭とあるが、双方とも、“鱧まつり”と鱧をとりあっている。 この夏は、幻風で鱧を味わってみよう。 先ず、活け鱧の骨切りをした上ものを、6、7センチに切り、葛粉をまぶし、熱湯に落とし入れる。 鱧が白い牡丹の花のように咲いた時、熱湯から引き上げ、冷水に落とし、粗熱を取り、ザルにのせ、水気をとり、冷蔵庫へ。 青唐は、軽く焼色が付くぐらいに、サッと炙り、小口に切り、塩と白醤油で濃目に味を付けた鰹だし汁と一緒に、フードプロセッサーで混ぜ合わせる。 だし汁と青唐が一体となった頃、“青唐だれ”の出来上がり。 冷やした白牡丹を青くよごし、口へ。 連載 ― 幻の夏の一品② 「冷奴と茗荷あんかけ」 硬めの木綿豆腐に軽く重しをして、水気を切って、冷蔵庫に1時間ほど入れておく。 小さいむき身エビをサッと湯通しをしておく。 茗荷は、こまかく小口切りに。 昆布だし汁に、塩、うす口醤油、味醂で、やや濃い目に味をつけ、煮立たせたところへ、水でといた、葛を加え、とろりとさせる。 火から鍋を下し、先のむきエビをまぜ入れ、葛あんを室温まで冷やしてから、冷蔵庫へ。 1丁の豆腐で四人前。四つ切りにした、豆腐をガラスの器に入れ、冷蔵庫から冷やした葛あんを取り出し、その上に豆腐がかぶる位に葛あんをかける。 それに、小口切りの茗荷をたっぷりとのせ、その上に糸切りカツオをかけて出来上がり。 大吟醸の旨酒をキリリと冷し、ご一緒にどうぞ。 連載 ― 幻の夏の一品③ 「多菜多彩の究極の素麺」 夏になると、朝昼晩、素麺が続いても飽きない、素麺党がこだわり、とらわれる、色彩豊かな素麺。 先ず、つけ汁。 昆布だしとたっぷりの鰹節でだしをとり、酒と味醂と醤油で適宜味付けし冷やす。 素麺は、二、三年もののひね素麺を少し堅目にゆで上げ、充分にもみ洗いをして、大皿に一口分づつ取り分け、ラップして、冷蔵庫へ約二十分。 最後に、この素麺の華の具と薬味。 具は、塩茹でのさや隠元の細切り。胡瓜の千切り。スタッフド・オリーブの小口切り。皮を湯びきし、種をとったトマトの千切り。塩茹でして皮をむいた赤ピーマンの千切り。金糸玉子。乾椎茸の甘辛煮の千切り。細かくほぐした焼き飛び魚の干物。 薬味は、分葱の小口切り。青じその千切り。煎りゴマ。大根おろし。おろし生姜。 素麺の白に、赤黄緑の映えること。 酒の中休みでも、酒の終いでも良い。 連載 ― 幻の夏の一品④ 「冷奴のアボガドソース」 前にもいったかも知れないが、とにかく、酒飲みは、豆腐が好きだ。 お陰さまで、かくいう私もその部類にに入る。 いや、そてを越えて豆腐が好きだ。 考えて見れば、年中豆腐を欠かしたことがないかも知れない。 アボガドは硬皮をむき、ザクザクと大ぶりに切り、ボールに入れ、アボガド1個に柚子1個の割合でたっぷり絞りかけておく。 それをミキサーに入れ、練り辛子を適当に入れ、ついでに白だし醤油も適当に入れ、スイッチを入れる。 スプーンでとって、とろりと落ちる位がいい。 あとは、冷奴を器に盛り、貝われのザク切りをその上にのせ、アボガドソースをかければ良し。 連載 ― 幻の夏の一品⑤ 「うなぎの蒲焼き紫蘇巻き揚げ」 ある新婚さん二人、姑の留守にこっそりと『ちょっと蒲焼きでも食べに行こか』と店に入り、満足して、店を出た。 悪いことはできぬもの。 姑がまた、うなぎには特に目がないことをその二人は知っていただけに、しばらく難儀をしたそうな。 これが“食当り”かも知れない。 うなぎの蒲焼きに全体にカレー粉をふりかけ、一口大に切っておく。 そのうなぎに紫蘇の葉を巻き、楊子で止めて、高温の油で、さっと揚げる。 揚げたての熱つあつを口に入れ、あとは、キリリと冷えたビールを…。 旨いよ!これは。 連載 ― 幻の夏の一品⑥ 「なすの焙り焼き」 毎年、山形から、8月終り頃か、9月初旬に知人からお贈りいただく、小なすの柿酢漬けは、秀逸だ。 かき氷の上に盛って冷やした、あざやかな紺紫色の小なすを丸ごと、噛み切る時のその味は、旨いの何の、たまらない。 その色もご馳走だ。 子供の頃、畑からもぎとって来たなすを母は、よく油煮にしてくれた。 それも旨かったなあ。 それも良いが、小さなコンロを出し、炭焼きのナスをするのも良い。 縦2ツ割にした小なすの切り口へ胡麻油を塗って焙り焼きにし、しょう油にタバスコを落としたのに付けて食べる。 焙りたての熱つ熱つの旨いこと、何ヶでも食べられる。ちょっと酢をたらし入れても、また旨い。
by hajimerakan
| 2006-12-12 17:00
| 酒羅漢の酒肴
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